オペレーショナルインテリジェンス(Operational Intelligence)とは、リアルタイムデータ分析とも呼び、意思決定をリアルタイムで支援することを目的とした一連のビジネスアナリティクスシステムです。リアルタイムデータ分析 では、進行中のビジネスオペレーションや関連する外部要因を表すさまざまなデータフィードが収集され、取り込みと同時に分析、要約されます。
対象となるデータには、支店の売上情報、社用車の使用率、さらには現在の気温といった一般環境情報など、基本的に企業の意思決定プロセスに有用であればどのようなデータでも含まれます。
リアルタイムデータアナライザでは多種多様なソースからデータを収集できますが、一般的には、企業の基幹ビジネスプロセスのデータを収集します。通常の使用方法では、それらの情報がダッシュボードに表示され、特に重要な情報を示すデータには、主要な外れ値または傾向を警告するアラートが付けられます。
企業のニーズによっては、CRMツール、株取引、リアルタイムのセールスレポートなどからデータを収集することもできます。また、リアルタイムデータ分析はIT運用で使用されることも多く、ネットワークやサーバーの運用に関する運用メトリクス、セキュリティの脅威、アプリケーションのデプロイメント状況などを監視できます。
さらに、テクノロジーの進化によって、より詳細なデータを リアルタイムデータ分析ソリューションに取り込めるようになっています。たとえば、工場の機械に埋め込まれたIoTセンサーからデータを直接収集したり、自社の通信インフラストラクチャ内の測定データを収集したりできます。リアルタイムデータ分析ダッシュボードでは、各種のソースから取り込んだデータのデータポイントを相関付け、その情報を基に、生産ラインを増やす時期や繁忙な現場に予備人員を送り込むタイミングなどを計画できます。
各部署からマシン生成されたITデータ深いインサイトの元になります。
このように、オペレーショナルインテリジェンス(リアルタイムデータ分析)ソリューションでは、システムに組み込むデータソースを増やすことで、より詳細かつ複合的にデータを分析して、より実用的で役に立つビジネスインサイトを得ることができます。
ビジネスインテリジェンスは、1990年代にその概念が登場して以来、さまざまなツールに実装され、今日ではあらゆる規模の企業で導入されています。しかし近年、より高度なテクノロジーの登場に伴って、リアルタイムデータ分析システムの開発が進んでいます。オペレーショナルインテリジェンスはよく、次世代のビジネスインテリジェンス(英語)と呼ばれます。それは、この2つのデータ分析技術が同じ流れをくむためです。
2つの技術の最も大きな違いは適時性です。簡単に言うと、BIでは、サーバーログ、過去の財務報告書、公開された業界分析などの履歴データを使用します。その当初の目的は、大量の情報を分析して、実用的なデータに要約することでした。その後、大規模なデータストアから運用やビジネスに関するインサイトを探る手段として、データマイニングのようなテクノロジーが開発されましたが、BIの分析には時間がかかるようになります。そのため、大企業では間隔をあけないと分析を実行できなくなり、可視化できるのは継続的な状況ではなく、一定期間ごと状態だけになりました。
一方、リアルタイムデータ分析ツールは、リアルタイム実行を重視し、情報を生成と同時に取り込むことで分析精度を継続的に向上させることを目指しています。取り込むデータはアーカイブログや静的な情報にとどまりません。リアルタイムデータアナライザでは、リアルタイムのインサイトが収集され、インテリジェンスが創出と同時に取得されるため、タイムリーで実用的なビジネスインサイトが得られます。
オペレーショナルインテリジェンス(OI)がBIより必ずしも優れているとは限りませんが、明らかに優位な点がいくつかあります。オペレーショナルインテリジェンスツールではリアルタイムのインサイトが得られるため、企業は機会や脅威に即座に対応できます。BIツールでは、四半期ごとの営業報告書や年次の業界統計など、先見性やリアルタイム性に欠ける情報が取り込まれるため、得られるインサイトは、エンドユーザーの手元に届く頃には数カ月以上後れということになりがちです。
多くのユーザーは、数週間または数カ月も前にわかっているインサイトを提供するBIツールを不満に思うでしょう。そこで、リアルタイムで状況を可視化する リアルタイムデータ分析ソリューションが注目されるようになりました。だからといって、履歴データやその分析に価値がないわけではありません。過去の分析は常に、企業の将来と深く関係します。そのため、BIと リアルタイムデータ分析を併用し、BIによる広範な履歴分析と リアルタイムデータ分析によるリアルタイムの可視化を統合して、自社や市場の状況をより包括的かつ戦略的に把握しようとする方法もあります。
リアルタイムビジネスインテリジェンス (RTBI) は リアルタイムデータ分析よりも前に登場しました。その開発コンセプトは、BIソリューションにリアルタイム性を持たせることです。BIはもともと過去を分析することを目的としているため、BIソリューションでもっと新しいデータを使用したいという考えがRTBI登場の背景にあります。RTBIでもインサイトを生成するために履歴データを使用しますが、そのソースは、数カ月前の情報を記録したログではなく、最新の情報が格納されたデータベースです。一般的なRTBI設定では、二次情報 (業界レポートなど) は、最新でない限り、データソースとして受け付けられません。
リアルタイムデータ分析ソリューションの主な機能には、リアルタイム監視、ダッシュボードと可視化、リアルタイムアラートシステム、業界別分析、オンデマンドレポート生成、ビッグデータと機械学習、自動修復、無限の拡張性があります。
ダッシュボードと可視化機能では、運用の状態とデータの傾向をすばやく把握できます。
リアルタイム監視:これはリアルタイムデータ分析の中核を成す機能です。すべての リアルタイムデータ分析ソリューションが、データソースをリアルタイムで監視する機能を備えています。工場の機械に内蔵されたセンサー、小売店の売り上げ情報のフィード、顧客に納入したアプリケーションの障害発生を知らせるアラートなど、どのソースからデータを取り込む場合でも、リアルタイムデータ分析の第一の役割は、データの取り込みと同時、通常はイベントデータの生成から数秒以内に、分析結果やアラートを提供することです。
ダッシュボードと視覚化:リアルタイムデータ分析でもう1つの中核となるのが、複雑な情報の要点をまとめて、わかりやすい形で表示する機能です。ダッシュボードはその代表的な方法で、大量のデータから抽出した有意義な情報がグラフィカルに表示されます。リアルタイムデータ分析システムによっては、ダッシュボードをユーザーごとにカスタマイズできることもあります。たとえば財務監査担当者と製品開発者では、同じ リアルタイムデータ分析システムを利用するとしても、意思決定に必要な情報はまったく異なります。そのため、ダッシュボードに表示されるデータとその表示方法をカスタマイズできるかどうかは重要な点です。
リアルタイムアラートシステム:主要なイベントの発生時にユーザーに通知することも リアルタイムデータ分析の重要な機能です。この機能では、通知のきっかけとなる条件やしきい値をユーザーが設定できます。通知はただちに、ダッシュボードに表示されたり、メールやモバイルデバイスのプッシュ通知で送信されたりするため、プロアクティブに対応することができます。
業界別分析:リアルタイムデータ分析ソリューションは、製造から、小売、金融サービスまで、幅広い業界に対応しています。しかし、ユーザーのニーズは業界によって異なります。通信会社と、全国にチェーン展開する小売企業や医療機関とでは、抱える課題は同じではありません。ダッシュボードを業界に応じて設定できる リアルタイムデータ分析ソリューションなら、最も重要な情報とその関連情報をエンドユーザーに表示できます。
オンデマンドレポート生成:情報がリアルタイムに表示されるダッシュボードは、状況に即座に対応するために便利ですが、情報をほかの人に伝えたり、現状を包括的に把握したりする場合にはレポートが役に立ちます。そのため、優れた リアルタイムデータ分析ソリューションでは、専門業務を担うデータエキスパートだけでなく、一般業務のユーザーも利用できるレポート機能が用意されています。
リアルタイムデータ分析は、ピーク時のサービスレベルの維持が重要な数多くの業界で幅広く使用されています。リアルタイムデータ分析導入のインパクトが大きい業界をいくつかご紹介します。
オペレーショナルインテリジェンス(OI)を使い始めるには?
リアルタイムデータ分析を導入するには、目標の設定から試験運用まで、以下の7つの手順で行うのがお勧めです。
最適なリアルタイムデータ分析ソリューションを選ぶには、自社の業界とニーズを考慮します。企業によって選定基準は異なりますが、主要な6つの考慮事項をご紹介します。
分析とインサイトの対象を過去からリアルタイムに移すだけで、意思決定の方法や、ビジネス成果に対する分析チームの貢献度が大きく変わります。リアルタイムデータ分析を導入すれば、マシンデータやその他の入力データから、生産性、セキュリティ、収益性を向上させるための明確なインサイトを導き出すことができます。
従来型のリアクティブな問題解決から脱却して、データ主導のリアルタイムのインサイトを得るために、既存のデータを活用しましょう。詳しくは、Splunkのホワイトペーパー『The Path to Operational Intelligence』をご覧ください。あれこれ悩むよりも、まずは第一歩を踏み出しましょう。